プラネタリウム100周年記念番組「宇宙の模型 プラネタリウム誕生物語」


昼間も雨の日も、いつでも満天の星空に出会えるプラネタリウムは、ある日突然地上に現れたわけではありません。有史以来、星空に魅了されてきた人類が、様々な「宇宙の模型」作りにチャレンジした末に誕生した、「種も仕掛けもある」不思議な星空です。 古代ギリシャの天球儀や、惑星の動きを再現した天体運行儀など、過去の宇宙の模型はどのような形で、現在のプラネタリウムに反映されたのでしょうか?100年前にプラネタリウムを発明したエンジニアのノートもひも解きながら、開発の秘密に迫ります。プラネタリウムの原点を見つめなおす番組です。
ドイツ・ツァイス社のプラネタリウム開発者が実際に描いた図面のほとんどは未公開資料でしたが100周年を機に、この番組で初めてフィーチャーします。そして当時の図面をもとに100年前の投影式プラネタリウムの中でもとりわけ創造性あふれる、「恒星球」や「惑星投影機」の成り立ちや機能を、徹底解説します。その他、日本初のプラネタリウム大阪市立電気科学館の投影のようすを再現します。3DCG、2Dアニメーション、手描きのイラストをブレンドし、懐かしいのにどこか新しい映像表現をご堪能ください。
投影式プラネタリウムが発明される前の宇宙の模型には、大きく分けて二種類ありました。一つは、星空を球体に描いた「天球儀」、もう一つは、太陽や惑星の動きを機械仕掛けで表した、「天体運行儀」です。ギリシャ神話の巨人アトラスにかつがれた天球儀、望遠鏡が発明される前のティコ・ブラーエの天球儀、エーゲ海アンティキティラ島沖の古代ギリシャの沈没船から引き上げられた天体運行儀、巨大な宇宙模型として知られる、ゴットルプの天球儀や、アイジンガー・プラネタリウムなど、天文学の歴史を彩ったさまざまな宇宙の模型も登場します。
科学の発展が人々の暮らしを変えつつあった、20 世紀の幕開け。ドイツ博物館の初代館長オスカー・フォン・ミラー(1855‐1934)は、科学技術の成果を、芸術品と同じように展示しようと理想を掲げます。実際の星空に似た「宇宙の模型」で、人々に天文学の業績や宇宙のすばらしさを伝えたい…、このミラーの思いが、プラネタリウム誕生のきっかけとなります。ミラーが「宇宙の模型」作りを依頼したツァイス社には、100年前の開発ノートが残されています。当時の図面や計算式をもとに、プラネタリウムが生まれるまでの創意工夫や発明の道すじを辿ります。
          声の出演 : 坂本真綾

作曲 : 小林 樹
音響編集 : 北城浩志
CG制作 : 並木優子(Astrolab) 広橋 勝
デザインワークス/2Dグラフィック : 野呂和史
フリーハンド人物画 : 清水 司
監修 : 井上 毅